白馬五竜の裏側を支えるシゴトにスポットライトを当てるシリーズ BEHIND THE SNOW RESORT の第二弾は、ゲレンデを作る「圧雪オペレーター(コース造成)」のお仕事。
圧雪車に乗ってゲレンデ内を動き回り、滑りやすいきれいなコースを作っていきます。深夜から早朝に行うためスキー場を訪れるお客さんがその工程を見ることは少ないですが、技術次第でゲレンデの仕上がりがまったく違ってくるテクニカルなシゴト。「圧雪はものづくりと一緒」という言葉からも、その奥深さが伺えます。
白馬五竜には上は60代までの約10名の圧雪スタッフが勤務しています。ベテランから若手まで、ヒデさん、ケンさん、ユズさんの3名に話を聞きました。
なぜ圧雪オペレーターに?
「圧雪車に乗りたかったからこの会社に入った」と話すのは、歴30年以上のケンさん。ずっと五竜の圧雪を支えているベテランです。
ケンさん「楽しいですよ。圧雪をやっていてね、自分が踏んだところをお客さんが朝シュプールをつけてもらって気持ちよく滑ってるところを見ると、ああいいじゃないって」
歴24年目になるヒデさんは、滑るのが好きでスキー場で働くことを選択しました。しかし新人の頃はひどかったと話します。
ヒデさん「滑るのが好きだから、滑り続けるために圧雪車に乗ったのは間違いない。でもね、最初の乗り始めの頃の自分が作ったゲレンデなんてもう。滑っても全然納得がいかないというか、出来なさすぎたというか」
自分がしっかり滑る側だからこそ、自分が作るゲレンデに落ち込んだといいます。長い年月をかけてその技術を磨いてきました。これからは若い人にもその技術を受け継いでいきたい、という気持ちに応えるように、若手の圧雪オペレーターも後に続きます。
ユズさん「今年で五竜に入って5年目で、圧雪は4シーズン目になります。毎日ゲレンデの条件が違って、毎日違う形でシゴトができるっていうのは、飽きないしずっと面白いですね」
圧雪オペレーター(コース造成)のシゴトのやりがい
重機を操作するのが難しそう、と思うかもしれませんが、操作自体よりもいかに圧雪機を駆使してゲレンデを細かく調整していくかのテクニックが問われる職人技。コースがどんな状態に仕上がっているかはお客さんの満足度に直結するので手は抜きません。
五竜の圧雪オペレーターたちは、ただ雪をプレスすればいいというわけではない奥深さにやりがいを感じています。
ケンさん「みんなが飛んでいたりうまく滑っていたりするのを見ると、『あー、これがいいんだな』と自分が滑って楽しむ以上にすごく嬉しくなったりしますね。 私のやりたかったことはやれてきているので、また次のステージに進めるかなと思います」
ユズさん「毎日機械を触らせてもらえるっていうのが嬉しくて、すごく日常のシゴトが充実しています。先輩のやり方を見て学び、自分もどんどん 技術を磨かなきゃいけないなと思うので終わりがない。そういうところもこの仕事のやりがい ですね」
ヒデさん「やっぱりスキー場でお客さんを一番喜ばせるのって、ゲレンデの作り方であったりリフトの人であったりだと思うんです。見えない裏方のシゴトが一番サービスの良し悪しに繋がっている。パークを作ることを専門にやらせてもらっているから、飛び方を間違えたりした人が怪我しないで ランディング(着地)できて滑っていく姿を見たときは、この設計でよかったんだなと思えます」
圧雪のシゴト、どんな人が向いている?
技術が必要なシゴトであることは間違いありませんが、五竜の圧雪スタッフは未経験の人にもどんどんチャレンジしてほしいと話します。特別な人だけができるシゴトではなく、「雪上のものづくり」がしたい人には積極的に技術を受け継ぎたいと考えています。
ヒデさん「若い子にどんどん乗ってほしいね。圧雪はものづくりと同じ。いきなり簡単にできるわけじゃないし、積み重ねることがすごく大事なんだけど、自分たちが培ってきた技術は全部喜んで伝えたいです。若い子にもものづくりにハマってほしいなというのはいつも思っていることですね」
実際まだ3シーズン目だというユズさんも、徐々に慣れて手応えを感じています。
ユズさん「圧雪って簡単にできることではないよね、という考えは自分にもありました。でも実際にやってみると、周りの人たちが教えてくれますし機械に乗ること自体はそんなに難しくなく、徐々にシゴトを覚えていけます」
どんな人にチャレンジしてほしい?という問いには、「探究心のある人」という答えがありました。滑ることも楽しいけど、作ることも楽しい。新しいカタチのスキーやスノーボードの楽しみ方を求めている人にはぴったりのシゴトです。
五竜の圧雪オペレーターは、それぞれが目標や自分の実現したいことを持ってシゴトに向き合っているのも魅力のひとつ。スキー場側に人がたくさん入って、一緒に目標を追い求め、結果を出せるチームづくりを目指しています。
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